産婦人科医が教える子宮筋腫とは!良性の腫瘍の原因・症状を詳しく解説

「子宮筋腫がありますね」「えっ!?」その後は自分でも驚くぐらい気が動転してしまって、先生の説明が頭に入ってこなかった。

「でも、聞き直すのは悪い気がして・・」

時間が経って落ち着いてきたら疑問がどんどん出てくるし、たまらず検索しているのかもしれませんね。

あなたのその疑問が解消されたら、不安は和らぐと思いませんか?

この記事を読めば子宮筋腫のことをしっかり知ることができるのでぜひ最後まで読んでみてくださいね。

子宮筋腫とは

女性であれば、誰でもなる可能性がある身近な病気と言っていいと思います。

簡単に言うと、子宮にできた良性の腫瘍です。

子宮は筋肉

子宮は、洋ナシを逆さまにしたような形をしていて、大きさは鶏卵ほどです。

子宮はほとんどが筋肉で出来ています。筋肉で出来ているからこそ、赤ちゃんができれば、20倍ほどの大きさになることができるのです。

しかも、出産後はちゃんと元の大きさに戻ることができます。この子宮に腫瘍ができるから筋腫と言います。

*正確には筋肉が腫瘍になるのではなく、筋肉が線維に変異することで筋腫になります。

この筋腫は95%が子宮体部にできます。残りの5%が子宮頸部にできます。

筋腫の大きさは小さいものだと、顕微鏡で見ないと分からないものから、胎児ほどの重さになるものまで幅があります。

ちなみに筋腫が大きければ、症状が重いというわけではありません。筋腫がどこにできるかが大きな影響を及ぼします。

子宮筋腫は3種類

子宮は粘膜(子宮内膜)・筋層・漿膜(子宮外膜)の3層構造です。

子宮筋腫

この3種構造の中で「どこにできるか」で違いが出てきます。

1.筋層内筋腫(きんそうないきんしゅ)

筋層内筋腫

粘膜(子宮内膜)と外側にある漿膜に挟まれた筋層にできる子宮筋腫です。ざっくり言うと、筋肉の内部にできる筋腫になります。

子宮筋腫になる人の約60%はこのタイプです。大きさは様々で、同時に沢山できやすいことが特徴です。

2.漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)

漿膜下筋腫

子宮の外側にある漿膜にできるタイプで約30%がこのタイプになります。

子宮の外側にできるので、小さい時は症状が気づきにくいです。気づかないので巨大化しやすい傾向があります。

巨大化すると、他の臓器を圧迫して症状が出てきます。

膀胱や尿道を圧迫すると、頻尿などの尿トラブルが起こります。直腸を圧迫すると便秘になります。

スリムな人なら、見た目に影響も出ます。下腹がぽっこりしてくる人もいます。

3.粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)

粘膜下筋腫

一番内側にある粘膜(子宮内膜)に筋腫ができると、粘膜下筋腫と言います。

筋腫の中で最もなる人の割合は低くて約10%程度です。

子宮の内側、子宮内腔に向かって発育する筋腫を粘膜下筋腫と呼びます。ぶら下がる事もあります。

また、ぶら下がるうちに子宮の外に出てしまうものもあります。子宮の外に出ると筋腫分娩と言います。

主な症状

  • 生理の量が増える(貧血を引き起こす恐れがあります)
  • 生理痛がひどくなる

筋腫という異物が子宮の中に入ってると判断して、子宮が強く収縮して排出しようとするので生理痛がひどくなりやすいです。

リスク

筋腫表面の血管が破れると大出血を起こす危険があります。

子宮筋腫の症状

一番の問題は生理の量が増えることによる貧血です。

過多月経

粘膜下筋腫は出血しやすく、筋層内筋腫でも筋腫が大きくなるにつれ、子宮内膜が広がるので表面積が増えます。その結果、生理時に剥がれ落ちる子宮内膜が多くなります。

貧血

貧血を起こすと、血の巡りが悪くなって、カラダが酸欠状態になります。

酸欠になるとカラダ全体に悪い影響を及ぼします。例えば心臓が血液をもっと送ろうと沢山動くので心臓に負担がかかります。

短期間なら問題ありませんが、放置すると長期間心臓に負荷を与えることになるので問題になってきます。

月経困難症

生理のたびに下腹部痛や腰痛が強くなります。

性交時の痛み

子宮筋腫があると、性交時に痛みを感じることもあります。

不妊

子宮筋腫があっても妊娠は可能ですが、子宮内膜が変形してしまうと、受精卵が着床しにくい可能性は否定できません。

子宮筋腫の原因

発生する原因は現在もわかっていません。

しかし、筋腫が大きくなるメカニズムは分かっています。筋腫ができると新しい毛細血管が増えていきます。その結果、子宮への血流が増えます。

血流が増えると子宮筋腫に沢山の栄養が行くことになります。その結果、どんどん大きくなっていきます。

*生理の量が増える理由でもあります。

また女性ホルモンであるエストロゲンが大きくなることに影響することも分かっています。その証拠に、薬で人工的にエストロゲンの分泌を抑えると筋腫が小さくなります。

エストロゲンの分泌を再開させると元の大きさに戻っていきます。

*この薬は副作用があるので最大で6ヶ月までしか使用できません。

ちなみに、この子宮筋腫は転移もしませんし、がん化することはありません。

あくまで良性の腫瘍なので、 子宮筋腫は命に関わる病気ではありません。

治療する基準は「本人がどこまで症状を感じているか?」「どこまで治したいか?」の2点になります。

治療方法

基本的に日常生活に支障がなければ、経過観察になる場合がほとんどでしょう。

経過観察になれば、子宮筋腫の大きさにもよりますが、定期的に検査を受けることになります。

もし、日常生活に支障が出ているようなら治療しましょう。

治療には大きく分けて、薬による治療か手術治療の2択になります。

手術となれば、あなたにとっては人生の一大事といっても良い出来事なので、慎重に判断することも大切です。

手術を受ける前に、戸惑いや不安をクリアにして選択してほしいところです。

1.薬物療法

今ある症状を抑えるための薬と、子宮筋腫を小さくする薬があります。

今ある辛い症状を抑える

強い生理痛や下腹部痛を抑える鎮痛剤や、月経過多を抑える止血剤、鉄欠乏性貧血対策として鉄剤を処方します。

低用量ピル(LEP剤)を使用する

子宮筋腫が原因で過多月経や強い生理痛を感じてる場合は、「月経困難症」と言う病名になり保険が適用できます。

低用量ピルを使用することで、生理痛の緩和や生理の量が減ることが期待できます。

また、副効用として生理日コントロールや避妊が同時に実現できます。

薬で子宮筋腫を小さくする

ホルモン剤を(点鼻薬 or 注射)で注入して、エストロゲンの分泌を抑えます。

ホルモン剤を注入している間は子宮筋腫が小さくなります。しかし、注入している間は更年期のような症状が副作用として出ます。

長期間続けると、骨粗しょう症を発症するリスクが上がるため、最大で6ヶ月までです。

ホルモン剤の使用をやめると、2~3ヶ月で元の大きさに戻ります。

2.手術療法

今後も妊娠の可能性がある女性には筋腫だけを取り出す筋腫核出手術があります。

ただし、小さすぎる筋腫は取りきれないのと、手術後の再発リスク(また違う場所にできる可能性)があります。

今後妊娠する可能性がないなら、子宮全てを取り除く子宮全摘出手術も選択肢としてあります。子宮が無くなるので、再発の可能性もゼロにすることができます。

子宮がなくなっても、女性ホルモンであるエストロゲンは分泌されるのでいきなり更年期のような症状に悩まされることはありません。

*エストロゲンは卵巣から分泌されています。

手術を決断したなら、手術の方法を医師と相談しながら決めていきます。

基本的には、子宮筋腫ができた場所や大きさ・数によって、手術の方法が選択されます。

開腹手術

お腹を切開しますが、安全・柔軟に対応できます。

腹腔鏡下手術

お腹の傷が小さくて済みます。

膣式手術

小さな筋腫なら膣式手術で取れる事もあります。

子宮鏡下手術

子宮内腔にできた有茎性の筋腫(ポリープ)なら子宮鏡下手術で取れることもあります。

あまり知られてない2つの治療法

筋腫付近の血管をふさいで小さくするUAE(子宮動脈塞栓(そくせん)術(じゅつ))

子宮筋腫は血液から栄養や酸素を摂って大きくなっています。

その血管をふさぐことで、栄養や酸素を通さないようにする手術です。

栄養や酸素が途絶えた筋腫は、個人差がありますが小さくなります。お腹を切る手術をしたくない人の選択肢として、検討する価値があります。

2014年に健康保険適用になり、受けやすくなっています。

超音波を筋腫に当てるFUS(集束超音波治療)

日帰り治療ができる方法として有効です。

高周波の超音波を筋腫に当てることで、細胞を焼いて壊死させます。筋腫が縮小することを狙います。

ほとんど痛みを伴わないのが大きなメリットですが、効果がある人とない人に分かれている点や、保険が効かないので高額な治療費が必要です。

まとめ

筋腫ができる場所によって症状が変わる特徴があります。基本的に良性の腫瘍ですから必ず治療が必要なわけではありません。

日常生活に支障をきたす症状が出ている場合のみ、治療すると考えてもらって大丈夫です。

良性の腫瘍ですが、巨大化すると症状が出やすくなるので、大きさを基準に治療を決めることもできます。

基本的に経過観察になる場合がほとんどだと思います。治療としては、手術をするのか薬で症状を抑えるのかという2択になります。

手術の場合
・子宮を残したい→筋腫核出手術
・子宮を残さなくてもいい→子宮全摘手術
・お腹を切りたくない人にはUAE(子宮動脈塞栓術)やFUS(収束超音波治療)があります。

手術を勧める基準も医師によって変わってきます。

セカンドオピニオンなどを利用して、選択肢の幅を広げてから決断するのがオススメです。選択肢を自分で決めることがとても大切です。