産婦人科医が教える尿漏れの治し方!原因から診る2種類の対策・治療を解説

尿漏れは、尿失禁とも言います。漏れる量に関係なく、自分で排尿コンロールができない状態が尿漏れです。

症状から尿漏れの原因を特定する

尿漏れが起きたきっかけを、振り返ってみてください。

腹圧性尿失禁

クシャミ・咳・大笑い・立ち上がるときなど、お腹に力が入ったら漏れてしまった…腹圧性尿失禁の可能性があります。

切迫性尿失禁

前触れなく強烈な尿意を感じて、トイレに駆け込んだが間に合わず…(ドアノブに触れた瞬間や、下着を下ろしている時などギリギリ間に合わない)

手を洗ったり水の音を聞くだけで急な尿意が来てしまい、間に合わない…切迫性尿失禁の可能性があります。

どちらの症状もある…併発している可能性があります。

尿漏れは腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の2つが原因

1.腹圧性尿失禁

原因は骨盤底筋群のゆるみ

胴体の一番底の部分には骨盤があります。この骨盤の底の部分に、筋肉・靭帯・筋膜がハンモック状に張っています。この筋肉・靭帯・筋膜を総称して骨盤底筋群と言います。

これがあることで、臓器がずり落ちない・便や尿が漏れない・膀胱の位置を安定させることができます。

反対に骨盤底筋群がゆるんでくると、トラブルが起こります。

  • 臓器がずり落ちてくる臓器脱になる
  • 尿が漏れる尿漏れ(尿失禁)になる
  • 便が漏れる便失禁になる

骨盤底筋群がゆるむトラブルは、日常生活に大きな影響を与えます。

骨盤底筋群がゆるむ5つの原因

①エストロゲンの低下

エストロゲンはいわゆる女性ホルモンです。女性はこのエストロゲンから様々な恩恵を受けていますが、筋肉と脂肪にも2つの点で良い影響を与えてくれています。

  • 筋肉にハリを与えて、筋肉量を維持する
  • 内臓脂肪を付きにくくしてくれる

しかし、エストロゲンは40代後半から急激に減っていきます。すると…筋肉にハリがなくなり、筋肉量が低下する。対策をしていないと骨盤底筋群は自然と弱くなっていきます。

また内臓脂肪がつきやすくなる。内臓脂肪が増えると骨盤内の臓器が圧迫されて骨盤底筋群が伸びるため、ゆるみやすくなります。

②妊娠

妊娠すると子宮内の胎児を支える必要があります。臨月を迎える頃には、胎児の体重は3キロ前後になってきます。胎児以外にも、胎盤や羊水を含めるとさらに重量は重くなり、負担は増えます。

③出産

出産時には、骨盤底筋が引き伸ばされるためにゆるんでしまいます。実際に産後は、尿失禁が起こりやすいです(普通は4ヶ月ほどで元に戻ります)。しかし、一度傷ついた筋肉は完全には戻りにくいものです。そのため加齢と共に筋力が衰えてきた時に、ゆるみの要因になります。

④肥満

体重が重くなると、骨盤底筋群に負担が増えます。もし、ダイエットとリバウンドを繰り返しているなら、特に注意が必要です。ダイエットすると筋力が落ちる場合が多く、リバウンドでは筋肉は落ちたまま脂肪だけが増えるという状態になりやすいです。骨盤底筋群の筋肉量が減って、支える脂肪が増えると負担がさらに増します。

⑤便秘症

便秘の人は直腸に便が溜まっているために、骨盤内の臓器を圧迫している時間が長くなってしまいます。長い時間圧迫されると、骨盤底筋群が伸びてしまいます。また排便時に強くいきむと、骨盤底筋群に負担がかかります。

治療方法

骨盤底筋体操

骨盤底筋群は外からは見えません。いわゆるインナーマッスルです。そのため鍛え方も地味ですが、効果は実証されています。

基本は肛門や膣、尿道をゆっくり締めて→ゆっくりゆるめるを繰り返します。
*お腹に力が入らないように注意してください。

これを毎日5分ほど繰り返します。この単純な動作だけでも筋力は鍛えられます。

動画でも色々と紹介されています。骨盤底筋体操も色々な種類が紹介されていますので、自分に合ったものを実践してみてください。

薬物治療 スピロペント(服用薬)

膀胱をリラックスさせて、尿道を閉じる効果があります。ただし、服用している間だけしか効果がありません。そのため骨盤底筋体操と併用することがほとんどです。

手術治療

TVT手術やTOT手術という、テープを使って尿道を支える手術が主流です。膀胱頸部や尿道の位置を修正したり、支えたりすることで尿道が閉まりやすいようにします。傷口が小さく済むので、入院も数日と比較的受けやすい手術と言えます。

2.切迫性尿失禁

原因

  • 脳血管障害(脳梗塞・脳出血)
  • 骨盤臓器脱
  • 過活動膀胱

脳血管障害(脳梗塞・脳出血)

脳血管障害など脳の指令がうまく伝わらないことが、原因になることがあります。

骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤)

骨盤底筋群のゆるみが発生することで、骨盤臓器脱になります。その結果、膀胱や尿道を圧迫すると尿失禁の原因となってしまいます。この場合は腹圧性と切迫性が、併発する状態になることが多いです。

過活動膀胱

次のような症状があると過活動膀胱と診断されます。

  • 尿意切迫感
  • 頻尿
  • 尿失禁(切迫性尿失禁)
尿意切迫感

突然起こる尿意が尋常ではなく、我慢することが難しいために、一刻も早くトイレに駆け込みたくなります。突然の尿意は膀胱がパンパンになってしまうというより、尿を十分に溜める前に収縮してしまうことが原因です。

頻尿

膀胱が尿を十分に溜めておけない状態になるために、必然的にトイレに行く回数が増えます。日中に排尿が8回以上ある場合は昼間頻尿、就寝後に1回以上排尿のために起きている場合は夜間頻尿と言います。

尿失禁(切迫性尿失禁)

漏れる量に関係なく、排尿が自分でコントロールできない状態です。過活動膀胱の人でも、尿失禁がある人とない人がいます。尿失禁がある方が重度の過活動膀胱と言えます。

このように切迫性尿失禁は、過活動膀胱の一つの症状となっています。

薬物治療

切迫性尿失禁では、薬物治療が中心になります。

抗コリン薬

切迫性尿失禁では膀胱が広がりきる前に、収縮が起こってしまいます。この収縮を抑えて蓄尿できるようにしてくれます。*副作用として口の渇きや便秘の症状が出ることがあります。

β3アドレナリン受容体作動薬

膀胱の収縮を抑える抗コリン薬とは違い、膀胱の筋肉を緩ませることで蓄尿できるようにする薬です。副作用が少なく、治療の中心になりつつあります。*心疾患がある人は注意が必要です

その他の治療方法

飲水コントロール

「水をたくさん飲むことが良いこと」という常識ができている現代では、意外と飲み過ぎで頻尿や尿漏れになっている場合があります。一般的に1日で摂る水分量は、体重の2~2.5%が目安とされています。(体重が45kgだと900ml~1100mlほどになります)
*真夏など大量の汗をかく環境では、この限りではありません。

実際にどのくらい水分を摂っているかは、摂っている水分を記録することでわかります。

排尿日誌

24時間でいくら排尿したかを記録します。実際に計量カップに排尿して計ります。
尿漏れや水分摂取の記録も同時に取れば、よりわかりやすいです。

膀胱訓練法

膀胱に蓄尿する量が少ないことが日常化してくると、膀胱がますます蓄尿できなくなるという悪循環が起こります。そこで、尿意を感じても5分、10分とワザと我慢することで膀胱内にたくさん蓄尿する経験を重ねていきます。
*1日1回だけなど無理をしない程度から始めますが、必ず医師の指導のもと行ってください。

骨盤底筋体操

腹圧性尿失禁の時に紹介した内容と同じです。*切迫性尿失禁にも効果が期待できますが、腹圧性尿失禁ほどの効果が出る人は少ないです。

まとめ!病院へ行きましょう!

泌尿器科、婦人科、内科で対応できます。

恥ずかしさからなかなか受診できずに、尿漏れパッドやパンツでやり過ごしている人もいますが、尿漏れは治療できる病気です。

症状がある人は、一度診察を受けることをおススメします。