【産婦人科医】妊娠初期に気をつけること7選・やるべき事6選を詳しく解説

初めて妊娠したときには、多くの人が喜びと同じくらい不安を抱えることになります。母子ともに健康な状態で出産しなくてはいけないプレッシャーもありますし、これまで経験していないことなので、自分の行動の正解がわからないといった不安もありますよね。

ただ、そのように不安になったり悩んだりするのも妊娠初期だけ。安定期に入れば精神的にも落ち着いてくるので、大事なのは妊娠初期をどう乗り越えるかということです。そこでここでは、妊娠初期をうまく乗り越えるために、気をつけなくてはいけないことを紹介していきます。

妊娠初期に気をつけるべき7選

妊娠13週までの妊娠初期は、出産に向けて体が準備を行う時期になります。体に大きな変化をしていくわけですが、その変化を妨げるようなことはNGで、変化をサポートしたり、体をなじませたりするようなことを積極的に行う必要があります。

ここではまず、妊娠初期にやってはいけないこ、やったほうが良いことを、それぞれ理由も含めて詳しく解説していきます。

まずは妊娠初期にやってはいけないことを見ていきましょう。

  • 市販の医薬品の服用
  • 負荷の高い運動
  • 重たいものを持つ
  • 喫煙と飲酒
  • カフェインの摂取
  • ダイエット
  • 人が多い場所への出入り

それぞれ、なぜやってはいけないのかについて解説していきます。

市販の医薬品の服用

市販の医薬品の中には、妊娠中の服用をNGとしているものも少なくありません。ちょっと風邪っぽいときなどに服用したくなりますが、市販の医薬品が妊婦や胎児に悪い影響を与えてしまう可能性があるので、自己判断での服用は避けてください。

どうしても薬が必要な場合には、かかりつけ医に相談して安全に服用できる薬を処方してもらいましょう。

負荷の高い運動

妊娠初期に限らず、妊娠をしたら負荷の高い運動や激しい運動はNGです。負荷の高い運動をすると胎児への血液や栄養供給が滞ってしまうだけでなく、転倒やケガのリスクも上がります。結果的に早産や流産になることもあるので、息が上がるような運動はしないように心掛けてください。

重たいものを持つ

人間は重たい荷物を持つときに、無意識に腹圧をかけてしまいます。それにより子宮の筋肉が収縮して、流産のリスクが上がってしまいます。重たい荷物があるときは、できるだけ配偶者や周りの人に頼って持ってもらいましょう。

ちなみに立ち仕事も、重たい荷物を持つのと同じくらい体に負荷がかかります。職場や自宅、電車での移動などでは、胎児のためにできるだけ座って過ごすようにしてください。

飲酒と喫煙

妊娠中に飲酒をすると、胎児が低体重になったり、脳障害を起こしたりするなど、取り返しのつかない問題を抱える可能性があります。少量であれば問題ないとされていますが、歯止めが効かなくなるのがアルコールのこわいところ。妊娠がわかったら、きっぱりとお酒を断つように心掛けてください。

また、妊婦が喫煙をした場合には低体重児を出産しやすく、さらに早産や流産などのリスクも高まります。間接的にタバコの煙を吸うのもNGです。配偶者にも禁煙もしくは分煙してもらい、喫煙可能な飲食店などを避けるようにしましょう。

カフェインの摂取

コーヒーを飲むと眠れなくなることからもわかるように、カフェインには神経を昂らせる効果があります。これが不眠や高血圧を引き起こすだけでなく、利尿作用により体内の水分が不足して、結果的に低体重児を出産する可能性があります。

どうしてもコーヒーをやめられないという場合には、カフェインレスのコーヒーを選ぶようにしましょう。

ダイエット

出産したら元の体重に戻らなかったという話を聞いて、妊娠初期から食事制限などでダイエットをする人がいますが、それでは胎児に十分な栄養を届けることができません。早産になるリスクだけでなく、子どもが成長してから生活習慣病のリスクが高まることがわかっています。

先生
先生

もちろん体重が増えすぎるのもNGですので、かかりつけ医のアドバイスを受けながら、最適な体重を維持できるように心掛けてください。

人が多い場所への出入り

妊娠すると免疫力が低下するため、インフルエンザや風邪などにかかりやすくなります。妊娠初期はまだ仕事があり、通勤しなくてはいけないという人もいるかと思いますが、満員電車など人が多い場所はできるだけ避けたいところ。

調子が悪いときには仕事を休ませてもらい、元気なときでもできるだけ人との接触を避けるようにして、感染症にかからないように配慮してください。

妊娠初期にやったほうが良いこと6選

妊娠初期には、下記のようにやっておいたほうがいいこともあります。

  • 葉酸の摂取
  • こまめな水分補給
  • 食物繊維の多い食材を選ぶ(便秘対策)
  • 鉄分や亜鉛などの摂取(貧血対策)
  • 夫婦でのスキンシップ
  • ストレッチやヨガ、ウォーキング

こちらもそれぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。

葉酸の摂取

ビタミンB群のひとつである葉酸を妊娠初期に摂取すると、胎児が神経管閉鎖障害になるリスクを低減してくれます。葉酸が不足すると細胞分裂に失敗しやすくなり、妊娠初期に発達するはずの神経管がふさがれ、神経管閉鎖障害により障害や流産、早産が起きてしまいますが、葉酸を摂取することでそれを予防できるというわけです。

できることなら妊娠前から摂取しておくのが理想ですので、妊活中は鶏レバーやモアスパラガス、ほうれん草といった葉酸が多く含まれている食材を積極的に食べるようにしてください。

こまめな水分補給

妊娠すると羊水に水が必要になり、汗もかくようになるので、妊娠前よりもたくさんの水分を補給しなくてはいけなくなります。食事で摂取する水分を別として、できるだけ1日1.5〜2リットルの水を飲むようにしてください。

ただし、1度に大量の水を飲むのは大変ですので、こまめに水分補給するのがおすすめ。あまり体を冷やしたくないので、できれば常温やお湯にして飲みましょう。

食物繊維の多い食材を選ぶ(便秘対策)

妊婦さんは妊娠初期にかかわらず、出産するまで便秘に悩まされることも多く、その対策が必要になります。手軽にできる便秘対策として有効なのが、食物繊維の多い食材を積極的に選ぶこと。水分補給も兼ねて、食物繊維の多い野菜を多めに食べるようにしてください。

腸内環境を整えるために、納豆やヨーグルトのような発酵食品を食べるのもOKです。母親の腸内細菌は赤ちゃんにも引き継がれるので、偏った食材でなく、幅広くさまざまな食材を食べておくのもおすすめです。

鉄分や亜鉛などの摂取(貧血対策)

妊娠初期は血液の水分量が増えますが、赤血球量が不足してしまい、血液が薄い状態になりがちです。赤血球が足りないと、十分な量の酸素を運べませんので、いわゆる貧血になってしまいます。それを回避するために、レバーなどで鉄分を補給する必要があります。

ただし、鉄分だけ摂っても亜鉛が足りていない場合には、効率よく造血できません。鉄分補給と合わせて亜鉛もしっかりと補給してください。

夫婦でのスキンシップ

妊娠初期に変化があって不安定になるのは、体だけではありません。心も不安定になりますので、できるだけ夫婦でのスキンシップを増やしましょう。スキンシップをすることで、精神的に落ち着けますし、パートナーの大切さを実感できます。

簡単なマッサージやハグ、手を繋ぐなどのちょっとしたことが、妊娠期間の精神的安定につながりますので、いつも以上に一緒の時間を大切にしましょう。

ストレッチやヨガ、ウォーキング

激しい運動はNGとお伝えしましたが、だからといって運動をまったくしないのもいけません。腹圧をかけない程度の運動は肥満予防になりますし、気分転換にもなります。ストレッチやヨガ、ウォーキングなどの運動を定期的に行ってください。

ただし、妊婦ならではの負荷のかけ方などがありますので、できればマタニティ専門のレッスンを受けた上で実施するのがおすすめです。

セックスは安定期に入るまで避けておく

妊娠したときに悩むのが、セックスをしてもいいのかということですよね。基本的な考え方としては「妊娠中は避けたほうがいい」のですが、セックスそのものが胎児に悪い影響を与えることはありません。

ただ「何かあったらどうしよう」という不安が、精神的不安につながってしまうケースもありますし、感染症になるリスクもゼロではありません。できれば安定期に入るまではスキンシップだけにしておき、セックスは心身ともに落ち着いてから行ってください。

セックスするときには体に負担がかからないように注意し、感染症を避けるために必ずコンドームを付けてもらいましょう。もちろん、夫婦でしっかりと話し合いをしておくことも大切です。

妊娠初期に起こる体の症状まとめ

妊娠初期には心身に変化があるとお伝えしましたが、どのような変化が起きるのか知っておかないと、ちょっとしたことで不安になってしまいますよね。ここでは、妊娠初期に起こる体の変化についてご紹介していきます。

  • ごくわずかな出血がある
  • おりものがサラサラになる
  • 基礎体温が上がり37℃前後の微熱が続く)
  • 便秘になる
  • 腰痛が起こる
  • 下腹部の痛みやお腹の張りがある
  • 胸が張る
  • 体がむくむ
  • 体がだるく感じる
  • 食欲が上がったり下がったりする
  • 頭痛が起こる
  • 匂いに敏感になる
  • 肌トラブルが起きやすくなる
  • 唾液と鼻水が出やすくなる
  • トイレに行く頻度が上がる
  • めまいや立ちくらみが起こる
  • 強い眠気におそわれる
  • つわりが始まり胃のむかつきや吐き気がある
  • 情緒不安定になる
  • 生理が止まる

妊娠すると、こんなにも多くの変化が起きます。基本的な考え方としては、まず体が出産に向けての準備を始めて、なおかつ胎児を守るための変化が起きていきます。

体と心は連動していますが、体の変化にすぐに適応できるわけではないため、精神的に不安定な状態になりやすいのも妊娠初期の特徴です。

大事なのは、これらの変化をネガティブに考えすぎないことです。もちろん症状がひどい場合には、かかりつけ医に相談して処置してもらう必要がありますが、小さな変化は「出産に向けての準備が整いつつある」とポジティブに受け入れるようにしてください。

人によっては初期症状がないこともある

妊娠するとこんなにも変化があるの?と不安になった人もいるかもしれませんが、妊娠初期の症状には個人差があります。基礎体温が上がるのと、生理が止まる以外に変化がなく、妊娠したことに気付かないまま時間が経過することも珍しくありません。

初期症状があると大変ですが、出産に向けて順調に進んでいることを実感できますが、症状がないと、本当に出産できるのか不安になってしまいますよね。でも、そこは個人差がありますので、妊婦健診で問題がなかったのであれば、深く考えすぎないようにしてください。

つわりを軽減する方法

つわりも個人差が大きい症状のひとつです。ほとんど感じないまま安定期になる人もいれば、ずっと吐き気が止まらない人もいます。

つわりがひどいと、胎児がちゃんと育っているのか不安になるかもしれませんが、基本的につわりと胎児の成長に関係性はありませんので安心してください。

つわりは原因がわかっていないのもあって、すべての人に効果的なつわりの軽減方法というものはありません。ただ、経験上「こうしたらいい」というものはいくつかあります。

  • 1回の食事量を減らして食事の回数を増やす
  • ビタミンB群を摂取する
  • つわりを和らげる漢方を飲む
  • 体の締め付けるものを取り除く
  • 生活から匂いを取り除く
  • 無理せずストレスをできる限り遠ざける
  • 調子がいいときに軽い運動を行う

まずはこれらを自分なりに試してみて、効果があると感じた方法を継続してください。

ただし、水分をほとんど摂取できなくなったり、食事ができず体重が減ってしまったりするなど、つわりの症状がひどくなっている場合は注意が必要です。

先生
先生

自分で何とかしようとせずに、できるだけ早い段階でかかりつけ医に相談してください。

高齢出産なら出生前診断を受けておこう

もし35歳以上の高齢出産になるのであれば、妊娠初期にやっておくべきことがもうひとつあります。高齢での出産は、胎児がダウン症などの問題を抱えている可能性があり、出生前診断を受けることで、それを事前に確認できます。

出生前診断にはいくつかの種類がありますので、どのような検査方法があるのか見ていきましょう。

  • 羊水検査
  • 絨毛検査
  • コンバインド検査
  • 母体血清マーカー検査
  • NIPT

このうち妊娠初期(妊娠13週まで)に行えるのは、NIPTと絨毛検査、コンバインド検査の3種類です。診断結果を確定できるのは絨毛検査ですが、絨毛検査は流産のリスクもあるため、最近はまず検査精度が高く、安全性も優れているNIPTで調べる人が増えています。

NIPTは非確定的検査なので、陽性だった場合に羊水検査や絨毛検査を受ける必要がありますが、陰性の場合には追加の検査が必要なく、安心して出産できます(ただし、NIPTの検査結果が陰性となっても0.1%以下の確率で陽性になることもあります)。

ダウン症であっても育てるという覚悟や経済的余裕がある場合には、出生前診断を受ける必要はありませんが、すべての家庭がそういうわけではありませんよね。高齢出産だけど健康な子どもを産みたいというのであれば、出生前診断を受けておきましょう。

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まとめ

妊娠初期に気をつけることについて解説してきましたが、あまりにも注意点が多すぎて、問題なく出産できるのか不安になったかもしれません。ただ、基本的な考えとしては、妊婦と胎児に負担をかけないように意識しておくだけでOKです。

むしろ、あれこれしなくてはいけないと考えて、それがストレスになるほうがよくありません。自分にとって無理なく導入できるものから始めてください。ただし、飲酒や喫煙、市販の医薬品の使用など、胎児にとってリスクが高いことはすぐにやめましょう。

また、高齢出産になると、規則正しい生活で早産や流産などのリスクが高いことを避けても、染色体異常によりダウン症の子どもが産まれる可能性もあります。胎児に問題がないか気になる人は、出産後に後悔しないためにも、NIPTなどの出生前診断の受診をおすすめします。