監修産婦人科医
・昭和59年徳島大学医学部卒業
・東京医科歯科大学産婦人科、都立病院等に勤務
・平成7年9月、横浜市都筑区にてにしだファミリークリニック開業
・平成30年3月閉院 ・産婦人科医・専門:内分泌(思春期・成人の卵巣機能不全、不妊症、更年期)
顔汗で悩んでいるけれど、「こまめに制汗剤を塗りなおせない」という環境にいる人や、「肌が弱くて制汗剤はちょっと……」という場合は、コレ!という対策がなかなか見つけられませんよね。
そんな時に便利なのが、身体にやさしく、どこへでも持ち歩くことができる漢方薬です。
「漢方専門の薬局は入りにくそう」
「漢方は、専門の医療機関でしか手に入らないんでしょ?」
そう思っているかもしれませんが、今はほとんどの商品が通販や薬局で、手軽に手に入れられます。
顔汗対策に効果的な漢方の力で、暑さや辛さ、寝汗、更年期障害などに負けない自分を手に入れましょう。
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漢方でどうして顔汗が止まるの?
漢方薬は、生薬と呼ばれる自然の植物や動物、鉱物などから作られています。
医療の現場でも使用されるなど、“身体にやさしいながらも確かな効果がある”と認められているため、安心して使用してみて下さいね。
そんな漢方薬で顔汗が止まる仕組みですが、それぞれの漢方薬は身体の症状に合った働きをしてくれます。
- 皮膚の温度調整が苦手
- ぽっちゃり体型などで熱を溜めやすい
- 何もしていなくても汗をかきやすい
- 顔など一部分にだけ汗が出やすい
- 更年期に入り汗をかきやすくなった
- 体内のバランスが崩れている
など、人によって顔汗の原因は違いますが、漢方には多くの種類があるため、その理由に合った商品を選ぶことで、汗を止めることができます。
漢方生活を始めるなら、まずは自分の状態にあった薬をしっかり見極めていきましょう。
5種類の汗タイプ別・人気漢方薬をチェック!
それでは、汗をかくタイプ別におすすめな漢方薬をチェックしてみましょう。
分かりやすいように、
- 暑さで汗をかくタイプ
- 寝ている間に汗をかくタイプ
- 辛さや刺激で汗をかくタイプ
- ストレスで汗をかくタイプ
- 更年期で汗をかくタイプ
の5つでタイプ分けを行いました。
それぞれのタイプで人気となっている漢方薬がこちらです!
1.暑さで汗をかくタイプ
暑くなるとすぐ汗をかくタイプ、体内の水分量が多いぽっちゃりタイプの方には、水分をコントロールしてくれるタイプの漢方薬がおすすめです。
牡蛎散(ぼれいさん)
「牡蠣散」に含まれる牡蛎には、身体の熱を鎮める作用があります。利尿作用があるため、汗の元となる水分を排出することもできます。
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
疲れやすい、汗をかきやすい人におすすめなのが「防已黄耆湯」です。6つの生薬の力で、身体にとって余計な水分を排出しながら、汗を抑えていきます。
五苓散(ごれいさん)
「五苓散」も、水分排出に効果的な漢方薬です。身体の水分バランスを整えながら、汗を減らすことができます。むくみや二日酔い対策の漢方としても知られています。
2.寝ている間の顔汗が気になるタイプ
朝起きると顔があせでびっしょり……そんな、寝ている間の顔汗が気になるタイプにぴったりの漢方薬です。
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
寝ている間の顔汗に効果が高い「柴胡桂枝乾姜湯」飲み続けることで、汗が気にならなくなるため、不眠の改善も期待できます。
知柏地黄丸(ちばくじおうがん)
「知柏地黄丸」は寝ている間の身体のほてりやのぼせを改善します。夜中の頻尿にも効果があるため、汗を抑えながら安眠できるでしょう。
天王補心丹(てんのうほしんがん)
睡眠中も神経が過敏に反応し、興奮状態になりやすい人には「天王補心丹」がおすすめです。寝ている間の緊張を和らげながら、汗も抑えていきます。
3.辛さや刺激で汗をかくタイプ
辛い物を食べたに汗が増えるタイプや油っぽい汗をかくタイプにおすすめの漢方薬です。汗の臭いを抑える効果もあるため、臭いが気になっている方も是非試してみましょう。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
「柴胡加竜骨牡蛎湯」には、身体にこもった熱を冷ましてくれる作用があります。熱いもの、辛い物を食べる前に飲んでおくことで、汗の量を減らせます。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
「加味逍遙散」も、身体に溜まった熱を冷やしてくれる力があります。全身の水分バランスを整えられるだけでなく、女性ホルモンによる自律神経の乱れも正してくれます。
平胃散(へいいさん)
「平胃散」は、身体に水分が停滞するのを防いでくれます。汗のにおいが気になる人や脂っぽい汗をかきやすい人にも、おすすめの漢方薬です。
4.ストレスで汗をかくタイプ
ストレスや緊張で汗が流れ出る場合は、こちらの漢方薬が役に立ちます。冷え性なのに顔汗が出る、疲れが溜まっている、という方にもおすすめの漢方薬になっていますよ。
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
「柴胡桂枝乾姜湯」は、緊張や疲れている時などにでる、顔汗を抑えてくれます。緊張そのものを取り除く効果もあるため、大事な場面の前に飲んでおくと安心です。
黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)
「黄耆建中湯」は、ストレスや緊張の場面で出しまう汗を減らしてくれます。貧血気味の人や、寝汗に悩まされている人にもよく選ばれています。
清暑益気湯(せいしょえっきとう)
「清暑益気湯」は、気力低下による汗を止める効果があります。緊張やストレスを感じる場面だけでなく、水分調整が重要となる夏バテ対策にもぴったりの漢方です。
5.更年期で汗をかくタイプ
更年期へ入った女性特有の顔汗に効果的な漢方薬です。汗以外の深い症状を抑えてくれるタイプの漢方もあるため、上手に取り入れていきたいですね。
知柏地黄丸(ちばくじおうがん)
寝汗に効果的な「知柏地黄丸」ですが、更年期障害によるホットフラッシュにも力を発揮します。更年期症状の原因と言われている「腎」へ作用することで、体力回復も期待できます。
温経湯(うんけいとう)
「温経湯」は、冷え性の身体を温めながら、顔のほてりを取り除き、顔汗を抑えていきます。顔がぼーっとするのぼせにも効果があるなど、幅広い更年期症状を改善できます。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
「桂枝茯苓丸」は、血液の巡りを改善し、更年期の顔汗を防いでいきます。血流が良くなるため、更年期特有の肩こりも改善できます。
この記事で使われている画像参照元:https://www.tsumura.co.jp/
漢方薬の効果的な飲み方や飲むタイミングが知りたい
飲んでみたい漢方薬が決まったら、生薬の力を最大限に引き出すためにも、最適なタイミング、飲み方で取り入れるようにしましょう。
漢方薬を飲むタイミング
漢方を飲むタイミングですが、ほとんどの商品が食間に指定されています。
食事と食事の間に服用しますが、胃に食べ物が入っていなければ問題ないため、食後2~3時間が過ぎていれば、飲んでかまいません。
飲み会やビュッフェなどで食べ過ぎてしまった後は、いつもより長めに時間を空けると良いでしょう。
漢方薬の正しい飲み方
漢方薬は、水もしくは白湯で飲むようにします。粉剤が多く、独特の香りや苦みがある漢方。苦手な場合はオブラートを使用したり、口に水を含んだ状態で飲んだりすることで、楽に摂取できるでしょう。
普段から飲んでいる薬がある場合は、医師や薬剤師へ相談すると安心です。
紹介した漢方薬は、身近なドラッグストアや薬局で購入できるものがほとんどですから、お薬手帳を持参の上、確認しておきましょう。
まとめ
顔汗の原因ごとに、それぞれの働きをしてくれる漢方薬。どうにもならない汗で困っているなら、一度試してみたいですね。
「肌が弱い」
「できるだけ身体に良い方法で顔汗対策がしたい」
という方は、漢方生活を始めてみましょう。
手始めに、インターネット通販や近くのドラッグストアで、どんな漢方薬があるのか、眺めてみるのも楽しいですよ。