監修産婦人科医
・昭和59年徳島大学医学部卒業
・東京医科歯科大学産婦人科、都立病院等に勤務
・平成7年9月、横浜市都筑区にてにしだファミリークリニック開業
・平成30年3月閉院 ・産婦人科医・専門:内分泌(思春期・成人の卵巣機能不全、不妊症、更年期)
更年期のカギを握るセルフケアとは?!更年期はどの女性でも平等に訪れます。更年期を通過しない女性はいないのです。
しかし、同じ更年期の女性でも、日常生活になにも支障のない人と、日常生活が送れなくなってしまうほどの症状に悩まされる人がいます。この違いはどこにあるのでしょうか?
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更年期とは
実際、80%の女性が日常生活に支障がない程度の更年期を過ごしています。実際に日常生活が送れなくなるほどの人は20%ほどです。
一見、このデータはホッとします。「80%も大丈夫なんだ」と思いますよね。
しかし、これはあくまでも日常生活を送るというレベルの話です。
日常生活に支障がないと思っていたけれど「実は影響を受けていたんだ」ということに、後で気づくパターンもあります。
それは、更年期の症例を知ることで「私も同じかも」と気づくパターンです。
更年期はあなたの弱点に影響が出やすい特徴があります。
弱点はもともと持っているために、自分では当たり前過ぎて意外に気づいてないことがあります。
更年期の症状が出る主な原因は、エストロゲンの急激な低下によるものです。エストロゲンは女性に欠かせないホルモンの一つです。
ここで、エストロゲンに大きな影響を受けている特徴をあげてみます。
- 丸みを帯びた女性らしいカラダのライン
- 乳房
- 生殖器(卵巣・子宮)
- 綺麗な髪や肌
- 排卵
- 太りやすさ
- 骨密度
どれも女性としての特徴と言えることばかりです。
エストロゲンについては別の記事でさらに詳しく解説していますのでそちらをご覧ください。(次回の女性ホルモン記事で詳しく書く予定です)
更年期を迎えるまで、女性はエストロゲンによって守られています。
「守られている」=「自然になっている」ということです。
これが更年期になると守られなくなってしまいます。
つまり、自分で守る必要が出てくるのです。
更年期による症状が軽い人や重い人はこのセルフケアに最大の違いがあります。
これからあげる更年期の症状をあなたは放置していませんか?
更年期症状とは
カラダが乾燥する
カラダの乾燥は、髪質の低下や、肌荒れやしわの原因になりますし、膣乾燥による性交痛を引き起こします。
やる気が出ない
やる気が出ないと、何もできなくなってしまうか、できても質を落としてしまう可能性が上がります。
カラダのラインが崩れる
カラダのラインが崩れると着る服に制限をかけやすいので、オシャレに縁遠くなって行く結果になりやすいです。
乳房も形が崩れやすくなりますし、お腹周りにお肉がつきやすくなってしまいます。
カラダに自信が無くなると裸を見せるのが苦痛になってきます。裸を見せたくないという心理は意外なほどセックスレスの原因となります。
情緒不安定になる
イライラして他人を攻撃しやすいです。友人や夫など身近な人ほど攻撃してしまいます。
手が出てしまう女性も意外と多かったりします。最悪、友人関係が切れてしまったり、離婚になるケースもあります。
更年期はあなたが次のステップに進んでいるサイン
「更年期」の「更」という文字には変わるという意味があります。
40代になると、知らず知らずのうちに女性ホルモンは徐々に減っていきます。それに伴ってカラダに変化が生まれてきます。残念ながらこの変化は、嬉しいことではない場合が多いです。例えば・・
- 疲れやすくなった
- 落ち込みやすくなった
- 生理が不定期になった
- イライラが抑えられない
症状は人それぞれですが、できればなりたくない状態ですよね。
人間は必ず年をとりますよね?それと同じように女性であれば更年期は必ずやってきます。
閉経するタイミングは人それぞれですが、閉経しない人はいません。(閉経とは卵巣から排卵が行われなくなって、子宮が妊娠の任務から完全に卒業した合図です)
実は、女性ホルモンの低下は35歳から始まっています。
40代で急降下するため症状が顕著に出てくることが多いのです。その急降下するときに、どんなことが起こる可能性があるのか知っていれば、慌てなくて済みます。
今までと違う自分に戸惑うことは変わらないですが、その時の対処方法を知っていれば気持ちの余裕がかなり違いますよ。
なぜなら、この10年でそれまで経験したことがないような体内変化が起こるのが更年期です。
事前に心の準備ができている状態で更年期を迎えるのと、出来てない状態で更年期を迎えるのでは雲泥の差が生まれるのです!
年を重ねるごとに変化が生まれるのは自然なことですが、それが不快な変化なら受け入れにくいこともあるかもしれません。
知るだけでも十分な事前準備になりますから、ここまで読み進めているあなたはすでに準備が整いつつあります。
更年期の期間は約10年
更年期は、閉経が基準点になります。閉経を挟んだ前後5年間が日本産科婦人科学会で定められている更年期期間です。
閉経の前後5年間ですから、合計10年間も更年期の期間が続くことになります。長丁場になりますので、じっくり付き合うことが必要になります。
50歳が平均的な閉経年齢なので、45~55歳が更年期だという人が多い傾向にあります。
ちなみに閉経とは「生理が1年以上来なくなること」です。しかし、閉経するタイミングは誰もわかりません。
正直、非常に個人差が大きいので、あくまで目安と考えてくださいね。
閉経が来て初めて「あっこれまでの不調は更年期に入っていたからなんだ」とわかるのです。
事前に更年期の知識がないと症状に翻弄されて、自分を責めてしまう行動になってしまいかねません。
ちなみに、10年間ずっと辛いと言うことではないので安心してくださいね。
あなたのカラダが更年期による変化に慣れるためと、カラダが変化するために必要な時間なのです。
自然の摂理ですから、抵抗するより流れに身を任せたほうがうまくいく時期です。カラダが10年かけて熟年期に移行すると考えると分かりやすいかもしれませんね。
症状も人それぞれですし、閉経の前後ではまた症状も変わって来ます。
閉経前では、ホットフラッシュや肩こり・頭痛などはもちろんですが、イライラしたり、鬱っぽい症状が出たりと精神的な症状を感じる人が多い傾向があります。
また、閉経するまでの過程で生理が非常に不規則になります。
閉経する5つのパターン
- 生理周期が長くなって閉経になる人
- 生理周期が長くなったり、短くなったりして閉経する人
- 半ヶ月以上生理がなかったのに、その後再開してから閉経する人
- それまでは順調に生理が来ていたが、ある日突然閉経する人
- 周期が短くなって閉経する人
個人差が大きいので一概には言えませんが、上記5パターンのいずれかで閉経を迎える人が多いです。
閉経後は、骨がスカスカになる骨粗しょう症のリスクが高まります。
女性ホルモンがなくなる事で、骨が脆くなるという大きな影響が出ます。 いくらカルシウムを一生懸命に摂っても、エストロゲンがなくなると、骨が溶けやすくなるのです。
見た目はお化粧などでカバーできるかもしれません。しかし、骨が脆くなり、骨折し易くなる、という体内の大きな変化は確実に起こっています。
また、閉経後は更年期の症状でも老化に近い症状を顕著に感じる人が多いです。
肌質や髪質の変化は特に分かりやすい変化です。また、コレステロール値が上がりやすいことも関係して、非常に太りやすいです。
もともと女性は筋肉量が少ないので、カラダがたるんでしまう人も多い傾向があります。
今までエストロゲンがしてくれていたことを自分でケアする必要があります。
食べる量をコントロールする必要がありますし、日常的に運動することが非常に大切になってきます。運動は筋肉を作る上でも、骨を強くするためにも欠かせません。
閉経してからの注意点
閉経してからの不正出血は病気の可能性があります。必ず婦人科に行って診察を受けてください。
今まで生理を経験してるとあまり違和感を感じない人もいるかも知れませんが、閉経してからの出血は異常です。
口から血を吐けば、即病院に行きますよね?
血尿や血便が出てもすぐに病院に行きますよね?
同じように閉経後の出血は病気が隠れている可能性が高いです。繰り返しますが、必ず婦人科に行って診察を受けて下さいね。
まとめ
更年期は大変革期と考えてもいいぐらいの変化が起こることがお分かりいただけたかなと思います。
それまでの人生のパートナーであったエストロゲンとお別れするのですから当然かもしれませんね。
現在は、閉経後の人生が30~40年もある時代です。意識して自分のカラダをケアしていきたいですね。
日々のセルフケアが将来のカラダ貯金になっていきます。
「更年期とはこういうものだ」と理解いただいて、これからの変化に備えるお手伝いができたなら幸いです。
まずは理解からです。一見当たり前のようですが、出来ていない人がほとんどです。
まだ不安が残るようなら、ぜひ繰り返して読んでみてくださいね。