監修産婦人科医
・昭和59年徳島大学医学部卒業
・東京医科歯科大学産婦人科、都立病院等に勤務
・平成7年9月、横浜市都筑区にてにしだファミリークリニック開業
・平成30年3月閉院 ・産婦人科医・専門:内分泌(思春期・成人の卵巣機能不全、不妊症、更年期)
あなたが太るのは更年期が原因ではありません。「最近、太ってきたかも・・」「正直、怖くて10年近く体重計に乗ってないのよね・・」「そう言えば、更年期になると太りやすくなるって聞いたし・・」
あなたもこのような思いを持って、この記事を見てくれているかもしれませんね。結論から言いますが、更年期だから「太る」わけではありません。
これまで沢山の患者さんを診て来ましたが、更年期が理由で太る人はそれ程多くありませんでした。
しかし、更年期世代は中年太りと言われる言葉があるぐらい太る人が増加するのも事実です。
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更年期が理由でない!なぜ太るのか?
それは、「加齢によって徐々に太りやすくなるから」が答えです。
当たり前すぎて身も蓋もない結論ですが、これが最大の理由です。
もちろん、更年期の特徴であるエストロゲンの低下によって内臓脂肪が増えやすくなるので太りやすくなりますし、更年期の不定愁訴の影響でストレスが溜まって、ストレス発散するために食べる量が増えるなどの影響はもちろんあります。
ありますが、原因と言えるほどではありません。原因とは、太るという状態になった根本的な理由です。そう考えると、太ってしまったのは加齢が根本原因だと言えます。
加齢とともに基礎代謝の低下が起こることが根本原因です。
基礎代謝とはあなたのカラダを生かすために働いているエネルギー消費のことです。
簡単にいうと、寝てる間にも消費しているエネルギーです。
寝てる間に意識はありませんが、臓器は動き続けてくれています。臓器が動き続けないと死んでしまいますからね。
当たり前のことはわかっているようで、実はわかっていないことも多いものです。
あなたはこの3つの質問に答えられるでしょうか?
- 更年期とは何かを知っていますか?
- 加齢で人はなぜ太るのかを知っていますか?
- 脂肪には内臓脂肪と皮下脂肪があるのを知っていますか?
質問ばかりになってしまって恐縮ですが、あなたが40〜50代で太ることが気になっているならこの3つを知ることが大切です。
この記事を読めば、更年期による体内変化と加齢による基礎代謝の低下の理由や内臓脂肪と皮下脂肪の違いが分かります。
まずは、「太ると何を失うのでしょうか?」ここから話を始めていきたいと思います。
太る3つのデメリット
- 見た目が変化する
- 病気のリスクが高くなる
- イビキをする
見た目が変化する
今まで着れていた服が着れなくなる、カラダのラインが変化してくる
このように見た目のネガティヴな変化は自信を低下させます。
病気のリスクが高くなる
更年期に入って閉経を迎えると、内臓脂肪がつきやすいカラダに変化します。内臓脂肪は皮下脂肪に比べて病気を引き起こす原因となりやすいことがわかっています。
病気のリスクが高くなるということは健康を失う可能性が高いということです。
ではこの更年期とは一体何でしょうか?
イビキをする
イビキについては以下の記事で詳しく解説しております。
更年期とは
一般的に閉経を基準にしてその前後5年間のトータル10年間を更年期と言います。
更年期に入ると女性ホルモンであるエストロゲンが徐々に低下していきます。このエストロゲンは女性の守り神とも言えるぐらい女性を守ってくれています。
エストロゲンは主に卵巣から分泌されいて、主な役割としては下記があります。
- 排卵の準備をする
- 丸みを帯びた女性らしいカラダのラインを作る(皮下脂肪がつきやすい)
- キレイな髪や肌を維持する
- 骨密度を保つ
- コレステロール値の上がりすぎを防ぐ
- 内臓脂肪を付きにくくしてくれる
閉経を迎えるとこのエストロゲンが急激に低下します。閉経後はエストロゲンは計測不可能なレベルまで低下します。
このエストロゲン低下の影響で不定愁訴という病気とは診断されないのにカラダの調子が悪い状態が続くことが更年期の特徴の一つです。
この「カラダの調子が悪い」症状は人によって千差万別で、個人差が大きいのも特徴です。
エストロゲンが低下すると脂肪の付き方が変化する!
エストロゲンが低下することで内臓脂肪がつきやすくなります。
内臓脂肪とは?
内臓の周りについていく脂肪です。内臓脂肪は、指でつまむことはできません。
つまり、内臓脂肪は見た目に出にくいのです。着痩せする人や隠れ肥満の人が内臓脂肪を持ってるパターンが多いですね。
なぜエストロゲンが低下すると内臓脂肪がつきやすくなるのか?
それは、エストロゲンには女性を守るためにたくさんの力を発揮してくれています。その1つに内臓脂肪を付きにくくしてくれる働きがあります。
その証拠として、男性と女性の太り方の違いを見ると分かりやすいです。
男性はお腹周りにお肉がつきやすくリンゴ型の人が多いです。手足はそうでもないのにお腹だけが出ている状態です。
女性は足やお尻につきやすく、洋ナシ型の人が多いです。腰より上はそうでもないのに、腰より下に脂肪がつく状態です。
男性がお腹周りに肉がつくのは内臓に脂肪がついてるからです。反対に女性は足やお尻に脂肪がつくのは、皮下脂肪がつきやすいからです。
皮下脂肪とは?
手でつまめるのが皮下脂肪です。皮下脂肪は脂肪の中で最も落ちにくい脂肪と言われます。その理由はエネルギーとして使われるのが一番最後だからです。
見た目に大きな影響を与えるのもこの皮下脂肪の特徴です。現代では嫌われ者とも言える皮下脂肪ですが、カラダにとってはメリットも意外にたくさんあります。
女性ホルモンであるエストロゲンが女性らしいラインを作るために一役買っている理由がわかりますね。皮下脂肪が女性らしい丸みのあるカラダのラインを作ってくれています。
皮下脂肪は肥満を原因とする病気(糖尿病・脳梗塞・心筋梗塞・高血圧)になりにくいのも見逃せない点です。
肥満は万病の因と言われますが、脂肪が全部悪い訳ではありません。肥満を原因とする病気(糖尿病・脳梗塞・心筋梗塞・高血圧)などは、皮下脂肪ではなく内臓脂肪が直接の原因だったのです。
その証拠に皮下脂肪が多い女性も見た目は太っていますが、病気を発症する人は男性の方が明らかに多いのです。つまり、皮下脂肪がつきやすく、内臓脂肪がつきにくいのが閉経前の女性の特徴です。
閉経後は男性と同じ条件になりますので、内臓脂肪がつきやすくなります。
加齢による脂肪がつきやすくなる2つの理由
取り入れるエネルギーと消費するエネルギーのバランスが崩れていくと太り過ぎたり、痩せ過ぎたりします。
①運動量の低下や筋力の低下
運動不足の原因の一つが裕福になっていることです。10代、20代の頃は徒歩、自転車でしたが、30代、40代、50代になりバス、自動車、タクシーに変わります。
若い頃はどこに行くのにも、最もお金のかからない「徒歩」を選択していたのに、より楽で簡単な方法を選ぶようになりました。
もちろん、これは一概に悪いとは言えませんが、運動不足を助長する要因になっています。
運動不足により筋力が落ちると基礎代謝が落ちます(筋肉が一番エネルギーを消費するからです)筋力が落ちるので、すぐに疲れる・運動に対する抵抗感が強くなるという悪循環になりがちです。
②エネルギー摂取と消費のアンバランス
エネルギー摂取は食べる量です。エネルギー消費は基礎代謝+運動なので消費するエネルギーです。食べる量がエネルギーとして使う量より多ければ、余りますよね。
明白すぎる事実ですが、人間は習慣の生き物なので案外これまでの習慣で食べる量を決めていたりする場合が多いです。
食べる量はこれまでと変わらないのに、消費するエネルギー量は徐々に減り続けていけば、徐々に余っていきます。
この余ったエネルギーを人間は蓄えます。しかも、エネルギーを貯める方法は一つしかありません。
それは体脂肪です。女性の敵とも言えること体脂肪ですが、実はカラダにとって必要不可欠なものなのです。
基本的に体脂肪が無くなることはありません。
カラダにとって「体脂肪=貴重なエネルギー在庫」なので常備しておく必要があります。
このように人間にとって体脂肪は必要なので、カラダは貯めれるだけ貯めようとします。
その結果太ってしまうのです・・
まとめ
- 運動量の低下や筋力の低下
- エネルギー摂取と消費のアンバランス
- エストロゲン低下によって脂肪の付き方が変わる
この3つの対策として食事が重要になってきます。加齢とともに基礎代謝が落ちるのに今までと同じ食事でいいのでしょうか?
運動が苦手な人は特に食事を見直すことで効果が期待できます。