【医師監修】乳がんの「しこり」感触チェック・治療方法を詳しく解説!

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もし自分が乳がんになったら…と思うと不安になりますよね。不安は「知らないという状態」によって引き起こされている場合がほとんどです。乳がんの正しい知識を知ることだけでも、不安解消に役立ちます。

乳がんとは

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乳房の中にある乳腺にできる悪性腫瘍。乳房は乳腺と、それらを取り囲んでよく発達した脂肪組織からできています。乳腺は、母乳を産生する「小葉」と産生した母乳を乳頭まで運ぶ「乳管」の2つで構成されています。悪性腫瘍は、この乳腺に発生する場合が多く、乳腺にできる悪性腫瘍を乳がんと呼びます。

近年増加

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出典:国立がん研究センターがん情報サービス

乳がんに罹患する人は年々増加していて、30年前に比べて約3倍に増えています。乳がんで死亡する人の割合は、罹患する人に比べれば微増に見えますが、30年前と比べて約2.5倍に増えています。増加の原因は、食生活や生活様式が欧米化したことにあると考えられています。

*罹患数とは、調査対象の人口集団(都道府県・市町村単位の大きさ)から一定期間に、乳がんと診断された人の数です。

年齢層によって罹患数が変わります。

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出典:国立がん研究センターがん情報サービス

30代後半から罹患数が高くなり、40代後半に一番罹患数が高くなります。60代半ばまで罹患数が高い状態が続き、60歳後半から徐々に減少していきます。

遺伝性があります

乳がんを発症する人のうち、5~10%が遺伝性であることがわかっています。もし、親や子供、姉妹に乳がんになったことがある人がいる場合は、発症リスクが2倍以上になることがわかっています。

*遺伝性の乳がんだからといっても、血縁者全てに遺伝するわけではありません。

自分の細胞が「がん化」する

爪や、髪の毛は常に伸びていますよね?これは人間の身体が、常に新陳代謝を繰り返しているからです。

新陳代謝は古い細胞が死に、新しい細胞が生まれるサイクルですが、この新しい細胞が生まれる時に遺伝子が欠損することがあります。通常であれば遺伝子の欠陥は、発見されて修復されますが、発見されずに修復されない場合があります。

この修復されない細胞ががん化するのですが、放っておくと無限に増殖するため、身体全体を巡ってしまいます。人は生まれてから新陳代謝を繰り返しますが、総回数は加齢とともに増えていくため、がんになるリスクは高齢になるほどに上がっていきます。

*高齢になるほど、がんになるリスクは上がりますが、がん化しても進行が遅いため気付かずに亡くなる人もたくさんいます。

セルフチェックが大切

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がんが小さければ完治も可能なので、早く見つけることが大切です。そのためには、普段から、自分の乳房を鏡で見るくせをつけることです。ご自身の乳房を、触って・見て・感じていますか?

自然と裸になる入浴時などに、鏡で「左右差がないか」「引きつれや凹み」「盛り上がり」「発赤」「ただれ」などが無いかどうかを確かめましょう。

30歳~月1回セルフチェック習慣!

乳がんは、他のガンにはできない「自分で発見する」という可能性があるガンです。実際に自分で発見する人も多いです。毎月1回で良いので、ご自身の乳房をしっかり触って、しこりの有無を確かめる、という作業をして欲しいです。

セルフチェックする具体的な方法はこちら

定期的に乳がん検診へ

40歳を迎えたら、1~2年に一度は乳がん検診を受けることを強くオススメします。マンモグラフィーと触診による検診が、40歳以上であれば公費で受けられます。マンモグラフィーは、触診では触れない早期の乳がんを見つけることができます。

実施のタイミングや内容は、自治体によって変わるため、各自治体の広報やホームページを確認してください。もし、乳房にしこりや、血が混じった液が乳頭から出ている、腫れを伴う痛みなど、乳房に変化を感じたらすぐに病院へ行って下さい。外科や乳腺外科で対応できます。

乳がん検診で「異常なし」と言われた人でも、これらの自覚症状が出れば一度病院へ行ってください。

治療方法

Web上のがん治療には、玉石混合の情報が溢れていますが、現時点で乳がん治療に効果があると証明され、専門家の間で合意が取られている治療のことを、標準治療と言います。

標準治療は、効果が証明されているため保険が適用されますが、保険が効かない治療は高額になります。

*以下は標準治療を前提としています。

局所治療

特定の部分だけに影響を与える治療です。

乳房温存手術

がん組織だけ取り除くことで、乳房の一部切除だけで済ませる手術です。自分の乳房が残るメリットがありますが、再発するリスクは全摘に比べて高くなります。

乳房全摘手術

がんを発症している乳房、全てを取り除く手術です。乳房が無くなってしまいますが、再発リスクを下げることができます。

乳房再建手術

全摘手術で無くなった乳房を再建する手術です。自分のお腹やお尻の組織を使う方法や、人工乳房(インプラント)を入れるなどの選択肢があります。強制ではなく、ご自身で希望・選択する必要があります。

放射線治療

放射線をがん細胞に直接当てて、がんを殺してしまう治療です。手術前に実施して、がん細胞を小さくするために使われる場合もあります。

化学療法(抗がん薬)

検査で見つけれない小さながん細胞が増殖して大きくならない様に、手術後に抗がん剤治療をすることが多いです。抗がん剤治療することで、再発率を0にすることはできませんが、リスクを下げることはできます。

抗がん剤はがん細胞も健康な細胞も両方攻撃して、がん細胞が増えないようにする治療法のため、副作用が強く出る傾向があります。

ホルモン療法

乳がんには、エストロゲンの影響で増殖スピードが増すタイプがあります。エストロゲンは受容体に入ることで初めて作用します。つまり、受容体に入れないとエストロゲンは効果を発揮できません。そこで、エストロゲンが受容体の中に入れないように、先回りにして受容体に入る成分を含んだ薬を服用します。がんの増加を防ぐ効果が期待できます。

分子標的治療

がん細胞だけ狙い撃ちして、攻撃する治療方法です。がん細胞は無限に増加しますが、この増加は特定の因子を必要とします。この特定の因子を攻撃することで、がんが増殖できない環境を作ります。

*がん細胞だけ狙い撃ちできるため副作用がないこと期待されていましたが、抗がん剤とは違う副作用が出ることが判明しています。

遠隔転移の治療

(完治が難しいため、症状や薬の副作用をコントロールする治療)

薬物治療が中心

手術する場合もありますが、身体全体に効果がある治療法が必要なため、基本的には薬物治療が中心になります。遠隔転移している場合、完治は難しいため初期治療とは方針が大きく異なります。

病気を治すのではなく、がんと共存することを目指します。生活の質を落とさないために、症状を抑えながら長く付き合うことを目指していきます。

乳がん予防する方法

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乳がんになるリスクを下げること=予防と考えてください。

禁煙(タバコの受動喫煙もNG)

タバコと言えば肺がんを連想する人も多いと思いますが、他のがんにも悪影響を与えることがわかっています。それだけではなく、喫煙者の近くにいると、自動的に吸ってしまう受動喫煙ですが、これも喫煙者と同じくらいに発がんリスクを高めることがわかっています。

吸わないことは勿論ですが、タバコを吸う人の近くにいるだけで吸ってしまう受動喫煙にも注意して下さい。

食生活(大豆製品を多く摂る)

大豆に含まれるイソフラボンがエストロゲンの様な作用をしてくれます。イソフラボンはエストロゲンの約1/1000の弱い作用を発揮します。

エストロゲンが多いことで、がんが活性化してしまうタイプの乳がんがあります。エストロゲンは受容体に入って初めて活性化しますが、イソフラボンが先に入っていると入れません。

このためエストロゲンのメリットも残しつつ、過剰に活性化することを防いでくれる抗エストロゲン作用があります。このような作用は、乳がんの治療薬であるタモキシフェンに似た作用になるため、効果が期待できます。

適正体重(肥満は大敵)

肥満は糖尿病や動脈硬化などの、リスクと同じように乳がんリスクを高めます。BMI値が標準を超えるようであれば、体重を減らす決断が必要です。

一時的に痩せるだけでは、効果は期待できません。減らした体重のまま維持する必要があります。急激なダイエットは続きませんし、成功してもリバウンドする確率が高いためオススメできまん。

身体を動かす(有酸素運動が効果的)

閉経後の女性では、「定期的に運動する人」と「定期的に運動しない人」で発症リスクに違いが生まれることが、ほぼ確実になっています。(閉経前の女性では結論は出ていません)

運動は乳がんだけでなく、認知症やアルツハイマー病の予防にも役立つことが分かっています。有酸素運動をするだけでも消費カロリーは上がりますし、継続すれば筋肉量も増えるため基礎代謝が高まります。結果、健康的に痩せることもできます。

軽い有酸素運動(ウォーキングなど)を毎日10〜20分程度が理想的ですが、週3回、30分以上の運動でも効果が期待できます。このように有酸素運動をすることで、一石二鳥どころか三鳥、四鳥にもなります。心臓に疾患などがない限り、有酸素運動をしない理由が見当たりません。

節酒(嗜む程度に)

お酒も乳がんリスクを高める可能性が、高いことが示唆されています。お酒を飲めば飲むほどリスクが上がることは、ほぼ確実になっています。

もっと詳しく知りたい人へ

もっと詳細に知りたい方は、日本乳癌学会より「患者さんのための診療ガイドライン」が出版されていますので、書籍を読まれることをオススメします。

*がん治療は日々研究されていますので、常に最新バージョンを読んで下さい。