【医師監修】辛い生理痛の原因は月経困難症!?原因と正しい治療方法で改善

毎月の生理痛がツラくて、普段の生活に影響が出ていませんか?「この生理痛はいつまで続くの?」「いつかは治るの?」と感じて、不安になっているかもしれません。

生理痛によって、動けなくなったり、普段できてることが出来なくなるのなら我慢する必要は全くありません。すぐに治療しましょう!

月経困難症とは

*月経と生理は同じ意味です。生理を医学用語で言うと月経になります。

通常の生理との違い

通常の生理でも体調が悪くなることはあります。

例えば・・

  • 下腹部痛
  • 腰痛
  • 下腹部が重い
  • 全身不快感
  • 倦怠感
  • 頭が重い
  • 精神的に不安定
  • 食欲不振
  • 下痢
  • めまい

これらの症状があるからすぐに病気では?と心配する必要はありません。

軽度であれば、ほとんど誰でも経験している症状と言ってもいいでしょう。

ただし、この症状が日常生活に支障が出るほど強く感じる場合は状況が違ってきます。

この場合は、月経困難症として治療する必要があります。

月経困難症として、もっとも訴えが多い症状は強い生理痛です。
生理のたびに下腹部や腰が強く痛む状態を経験しているなら、月経困難症の可能性が高いです。

陥りやすい悩み

  1. 通勤、通学、家事ができなくなって休んでしまう。
  2. 勉強、仕事、家事に集中できない(全くできなくなる)
  3. 親、上司(同僚)、夫の理解を得られずに生理痛の悩みを一人

で抱え込んでいる。この3つが特に多いです。

診断基準

どこからが普通の生理痛で、どこからが月経困難症なのでしょうか?痛みは数値化する手段がないので測れません。

医者も患者さんが痛いといえば、信じるしかないのが現状です。
そこで「痛みが起こった結果、どのようなことが起こっているのか?」で判断しています。

  • 痛みで動けなくなる時がある
  • 痛みで普段できることができなくなる時がある

こういうことがあれば、月経困難症と診断します。

強い生理痛になる原因とは

月経困難症の原因は大きく2つに分けられます。機能性と器質性です。専門用語なのでわかりにくいですよね。それぞれ具体的に見ていきましょう。

1.機能性月経困難症

カラダに悪いところはないのに、痛みを感じる状態が機能性月経困難症です。

初潮を迎える10代〜20代の若い世代がなりやすいです。

症状の特徴としては・・

  • 強い生理痛
  • 腰痛
  • 吐き気
  • 下痢

生理前日〜3日目まで症状が続くことがあります。

また、年齢が進むにつれて痛みが増す事もあります。これは、卵巣機能が成熟するとホルモン量が増えて、子宮内膜が厚くなるためと考えられます。

機能性月経困難症が起こる原因は2つ。

①子宮頸管(しきゅうけいかん)が硬い

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子宮頸管とは子宮頸管とは膣と子宮内部をつなぐ、子宮で一番細い部分です。

分泌液を出して精子が入れないようにしたり、雑菌の侵入も防ぐ門番のような役割を担っています。

妊娠すると子宮頸管は固く閉じて、胎児が子宮外に出ないように栓の役目を担います。

出産を経験していない子宮頚管は硬くて内腔が狭いです。若い女性で機能性月経困難症の90%以上は、それが原因だと考えられます。

②プロスタグランジンが増える

プロスタグランジンは子宮を収縮させる物質です。子宮を収縮させるには、このプロスタグランジンが必要になります。

しかし、プロスタグランジンは増え過ぎると痛みの原因になってしまいます。

生理になると、厚くなった子宮内膜が剥がれ落ちて子宮頸管を通って外に出ます。

この剥がれ落ちた子宮内膜を出すには、子宮頸管(しきゅうけいかん)をスムーズに通る必要があります。

若い女性はこの子宮頸管が硬いためにスムーズに通りません。剥がれ落ちた子宮内膜が子宮内に溜まった状態になってしまいます。

すると、カラダは子宮の収縮をもっと活発にして、溜まった状態の子宮内膜を出そうとします。その結果、プロスタグランジンが増えて痛みが強く出るのです。

機能性月経困難症は出産後に改善することが多い

出産時に子宮頚管が柔らかくなり、大きく広がります(直径10cmも!)

一度広がることを経験すると、その後は生理時に剥がれ落ちる子宮内膜を外に出しやすくなります。

2.器質性月経困難症

カラダ(臓器)に異常がある場合が器質性月経困難症です。20歳以上の女性がなりやすいです。

症状の特徴としては・・

  • 生理量が多くなること
  • 生理期間が長引く

いずれも機能性月経困難症では見られない症状です。病気が原因で強い生理痛を感じている状態です。

痛み止めだけで、だましだまし過ごしていると、病気が進行してしまいます。

隠れている病気としては・・

  • 子宮内膜症
  • 子宮筋腫
  • 子宮腺筋症

この他にもありますが、主にこの3つが多いです。

近年は10代後半でも・・初潮が早くなった分、10代後半くらいから子宮内膜症がひどくなるケースも多くなっています。

ガマンしないで、早く治療を受ける人がもっと増えてほしいです。

機能性月経困難症の治療法

機能性と器質性は原因が違うために治療法も異なります。まずは機能性月経困難症の治療から見ていきましょう!

薬物治療が中心になります。

鎮痛剤

まずは痛みを軽くすることが最優先です。

プロスタグランジンがたくさん出ることが痛みの原因ですので、プロスタグランジンが出るのを抑制する薬を飲みます。

実際に痛くなる前、痛くなりそうな時に飲むことが効果的です。

痛くなってから飲んでも、すでにプロスタグランジンが出てしまっているため、効果はほとんどありません。

漢方薬

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次の2点がある人にオススメです。

  • 鎮痛剤を飲み続けることに抵抗感がある人
  • 鎮痛剤の効果があまり感じられない人

月経困難症に効果的な漢方薬は以下

  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)
  • 温経湯(うんけいとう)

漢方薬はこのように種類が多いために自己判断が難しいです。
医師に体質を見てもらい、カラダのタイプや症状と合わせて処方するのがベストです。

効果的に飲むためにも必ず医師に相談してくださいね。

低用量ピル(LEP)

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月経困難症と診断されると保険が適用できます。財布に優しく、生理サイクルをコントロールすることができます。

子宮内膜が厚くならないので、子宮内膜を出そうと子宮が収縮することを防ぐことができます。

月経困難症の改善に効果的なだけでなく、生理サイクルを調整できるようになります。(現在は、2〜3ヶ月に1回だけ生理を起こすピルもあります)

大切な試験や大事な大会、楽しみにしてる旅行中に生理が重なることがないように調整できます。

生理によるストレスを軽減することに非常に役立ってくれますよ。

低用量ピルはもともと避妊が目的で開発された薬です。正しくピルを服用していれば、99.9%の避妊にもなります。

*避妊目的のピルの使用は保険が適用されません。

ミレーナ(子宮内黄体ホルモン放出システム)

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医師によって、子宮内にミレーナを装着します。月経困難症と診断されると保険適用されます。

子宮内に挿入するので、妊娠・出産経験がある女性にはオススメです。生理の量が極端に減るので、とても楽になります。

ほぼ確実な避妊にもなり、一度挿入すると、5年間有効です。
*ミレーナも避妊目的では保険適用されません。

器質性月経困難症の治療法

機能性月経困難症の治療と同じく薬物治療としては、下記の4つが有効です。

  • 鎮痛剤
  • 漢方薬
  • 低用量ピル(LEP)
  • ミレーナ(子宮内黄体ホルモン放出システム)

機能性月経困難症との違いとしては手術療法があることです。
病気が根本原因なので病気を治療する必要があります。

まとめ

生理痛で日常生活に支障が出ていれば、月経困難症と診断されることがわかったと思いますので、まずは婦人科に相談しましょう。