医師が教える更年期障害に効く薬3選!辛い患者にオススメする

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更年期障害症状に苦しんでいるのなら薬を試してみませんか?「効果あるの?」「副作用は?」など気になることもたくさんあるでしょう。

薬も症状ごとにしっかり使えれば、効果を発揮しますし、用法・容量を守れば副作用も過度に心配する必要もありません。

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更年期症状に効果のある薬3選

患者
患者

とりあえずこの不快な症状をどうにかしたいです

これは更年期障害症状に悩む人の切実なる思いであり、現実です。

更年期障害に効果がある薬は大きく分けて3種類あります。

  1. 対症療法
  2. HRT(ホルモン補充療法)
  3. 漢方薬

まず、対症療法から見ていきます。

対症療法としては、精神安定剤・抗うつ剤・睡眠導入剤・自立神経調節剤・鎮痛剤・末梢血管拡張剤・骨粗鬆薬などがあります。

  • 抗うつ剤・精神安定剤

更年期障害症状として心理的症状が強い場合に使用します。

  • 睡眠導入剤

不眠には様々な種類があります。

  1. 布団に入ってから寝るまでに30分以上かかる入眠障害
  2. 夜中に何度も目が覚めてしまい、それから眠れなくなる中途覚醒
  3. 午前5時以前に目が覚めてしまって、それから眠れなくなる早朝覚醒
  4. 寝てから2回以上目が覚めてしまい、ぐっすり寝た感覚を得れない熟眠障害

不眠の原因にもよりますが、それぞれにあった薬を選択して処方します。

  • 鎮痛剤

いわゆる痛み止めです。

  • 末梢血管拡張剤

血管を拡張させる薬で、血の巡りを改善します。

  • 骨粗しょう症薬

骨の破壊を抑制する薬・骨の形成を促進する薬・カルシウム製剤などがあります。

熱が出れば、解熱剤で熱を下げる。咳が出れば咳止めで咳を止める。頭痛が出れば痛み止める。このように今出てる症状を解消することが対症療法です。

火事を消す消防士をイメージしていただけるとわかりやすいかも知れません。火事の現場にいれば、火を消すことが火事の被害を最小限に防ぐ最高の方法です。

患者
患者

一番効果的な薬はどれですか?

症状は人それぞれ違いますので一概には言えませんが、更年期に入ってエストロゲンの低下が認められる人にはHRT(ホルモン補充療法)が一番効果的です。

先ほどの対症療法と比べてこちらは原因療法と言えます。

原因はエストロゲンの減少ですから、ピークの頃と同じぐらい上がるわけではありませんが、下がり方が緩やかになるので、症状を和らげたり、無くしたりすることが期待できます。

HRT(ホルモン補充療法)は低下したエストロゲンを補う治療

閉経後や更年期の様々な症状の改善にも効果が期待できます。

HRT(ホルモン補充療法)は少なくなったエストロゲンを補うことで、更年期の様々な症状を改善する治療法です。特に骨粗鬆症の方にはHRT(ホルモン補充療法)はおすすめです。

「HRT(ホルモン補充療法)を受けると若返るのですか?」と

聞かれることがあるぐらい勘違いしてる人も多いのですが、HRTを受けても若返りません(笑)
若返りというより、老化を少し遅らせると言う感覚が近いと思います。

エストロゲンが出ていた頃の体調を取り戻すことができます。もちろん、治療は早く始めた方が効果的です。

HRT(ホルモン補充療法)の効果

  1. ホットフラッシュや動悸など自律神経の不調を改善します
  2. 膣の萎縮や乾燥で起こる膣炎や性交痛を改善します
  3. 皮膚のコラーゲンやエラスチンを増やすので、肌の張りや潤いを保つ
  4. 関節の軟骨にもコラーゲンがいい影響を与えるので、関節痛を改善します
  5. 物忘れや認知症の予防にも効果があります

骨には破壊する細胞と生成する細胞があります。

この破壊と生成のバランスで新陳代謝を行っていますが、破壊が生成を上回る働きをしてしまうと骨がスカスカになってしまいます。

HRTはこの破壊細胞を抑制するので骨粗しょう症に効果を発揮します。

HRT(ホルモン補充療法)を始めるには事前検査が必要

HRTは血栓のリスクが上がります。治療を受けるには条件があります。

血栓症・心筋梗塞・脳梗塞・子宮体がん・乳がんの病歴がある人は受けることができません。

また、重度の肝臓疾患がある人もできません。

問診・身体測定・血液検査・内診や超音波検診・乳房検診をして、過去と現在の条件をクリアしてることが判明してからの治療開始となります。

HRTを開始してからは、定期的に検診を受けることが大切になります。定期検診は今後あなたのカラダをしっかり守るためのポイントになります。

HRT(ホルモン補充療法)薬の種類

年齢、症状に応じて、数種類のエストロゲンから選択します。

エストロゲン製剤

・経口剤

錠剤タイプの飲み薬
胃腸を通して吸収される

・貼付剤

下腹部に貼るタイプ
胃腸を通らず、皮膚から直接吸収される

・ジェル剤

肌に塗るタイプ
皮膚から吸収されます。
貼付剤に比べてかぶれにくいです。

・黄体ホルモン製剤

子宮がある人には必須です。生理のように子宮内膜を剥がして出血を起こすことで子宮体がんを予防する役割があります。

エストロゲン製剤と黄体ホルモン製剤の配合剤

1錠に両方が入っているタイプ
手間がなく楽に飲めます。

実際の治療方法

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  1. 現在どのような症状が出ているか?
  2. 子宮を摘出してるか?
  3. 閉経しているか?(閉経していれば、どれくらい期間が経過しているか?)
  4. 他に病気を持っていないか?

などの状態に合わせて決めていきます。

周期的投与法

エストロゲン製剤と一緒に、ある一定期間だけ黄体ホルモン製剤を使用する方法です。
定期的に生理のような出血がある。閉経して間もない人にマッチしやすい方法です。

持続的投与法

エストロゲン製剤と黄体ホルモン製剤、もしくはエストロゲン製剤を毎日使用する方法です。使用開始後は不正出血がありますが時間とともに無くなっていきます。

生理の出血が嫌な人。閉経から数年経っている人にマッチしやすい方法です。

HRTを受けるには閉経後5年以内がベストのスタートタイミングと言えます。

患者
患者

他に選択肢はありますか?

漢方薬(加味逍遥散、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散など)があります。HRT(ホルモン補充療法)が受けられない人にもオススメです。

漢方薬はカラダ全体のバランスを整えて心とカラダを元気にすることを目的としています。

どの漢方薬がいいかの自己判断は難しいです。医師との相談が不可欠になります。

患者
患者

薬は本当に安全なのでしょうか?

薬には良い作用(メリット)と副作用(リスク)があります。薬の量を増やすということはリスクも高くなっているということです。

処方された量を飲んでもらって、効果が出ているか?副作用が出ていないか?を観察します。

効果が実感できていれば、良い作用を享受できていると言えます。

必要量に足りてると言えますね。もし、副作用が出てしまったら、量が多いサインかも知れませんし、その薬が体に合っていない可能性もあります。

効果が出ていて副作用もそんなに感じないのであれば継続して飲んで問題ありません。

副作用が出ていれば、量を減らしてトライするか、薬を変更します。最低限の量で効果が出るラインを探すことがポイントになります。

容量と飲む期間を守れば、怖がる必要はありません。
*当然ですが、医師指導の元で試行錯誤するから安全と言えます。

先生
先生

それぞれにあった治療方法を選択する、オーダーメードの治療が必要です。

対症療法・HRT(ホルモン補充療法)・漢方薬それぞれメリット・デメリットがあります。

人それぞれの症状や病歴によって取れる選択肢も変わってきます。

血液検査の結果、エストロゲンが減っていなければ、HRT(ホルモン補充療法)ではなく漢方薬を試すことになるでしょう。

反対にエストロゲンが減っているのにHRT(ホルモン補充療法)ではなく、漢方薬を選択すると症状がなかなか改善されなかったりすることもありえます。

HRT(ホルモン補充療法)はエストロゲン低下が明らかになれば非常に強い味方になります。

エストロゲンを補充するので、エストロゲンが急激に低下することによって引き起こされる症状全てに好影響を与えることができます。

ただし、診察後すぐにHRT(ホルモン補充療法)を開始できるわけではありません。

エストロゲンの数値を測るには血液検査の結果を待たないといけませんので、実際に開始するまで2週間ほどかかります。

それまでの間、更年期障害症状は待ってくれません。そんな時に対症療法が役立ちます。今出ている不快な症状を抑えればかなり楽になれます。

しかし、原因がエストロゲンの急激な減少であれば、対症療法は一時しのぎといわざるを得ません。

原因であるエストロゲンの急激な減少に対応するHRT(ホルモン補充療法)なら1つで色々な症状に効果を期待できるのが一番のオススメポイントです。

まとめ

更年期障害に効果がある薬について理解していただけたと思います。

薬を上手に利用して、更年期障害症状を改善できると思ってもらえる人が一人でも増えれば嬉しいです。